8月25日に出版されたインドネシアの歴史コミック『インドネシア少年の抗日・対オランダ独立戦争』。日本でインドネシアの漫画が紙媒体で出版されたのは1985年の『パシコムおじさん』以来、実に32年(!)ぶりのことです。 pic.twitter.com/wG3fwNY1u9
— インドネシア人の本音 (@honnesia) 2017年8月28日
2017年8月25日、下記で紹介しているインドネシアの歴史コミック「Komando Rajawali」が出版社めこんから『インドネシア少年の抗日・対オランダ独立戦争』というタイトルで出版されました。紙媒体に限れば、インドネシアの漫画が日本で出版されるのは32年ぶりのことです。出版された漫画の内容に関しては、出版社のホームページ(リンク)を参照してください。【2017年8月30日追記】
昨今のインドネシアにおいて日本軍政期は一体どのように捉えられているのだろうか。当ブログではこれまでに現地の歴史教科書、時事週刊誌、ネット掲示板などの翻訳(関連記事に関してはエントリー末尾のツイート参照)を通じてインドネシア側の見解を伝えてきたが、今回は新たにコミックという媒体からインドネシアにおける日本軍政期の描写を紹介してみたい。
インドネシア人の本音@honnesia日本が登場するインドネシアの漫画。1973年出版の「Taufan」第1巻より。「バカヤロー(BAGERO)」と怒鳴りながら、インドネシア人に暴行を加える日本兵が描かれている。なお、作者のGanes THは70年80年代のインドネシ… https://t.co/hMHlqEBldx
2016/12/20 20:20:24
インドネシア人の本音@honnesiaインドネシアの伝説的&vquot;ターザン&vquot;漫画「Wiro , Si Anak Rimba」に日本軍が登場。第9巻「ウィロ少年、日本軍と戦う」ではパプアの密林で日本兵との戦いが繰り広げられる。 https://t.co/cUgmr8cGGM
2016/09/25 18:40:05
インドネシア人の本音@honnesia日本兵が登場するインドネシアの漫画というのも探せば結構ありそう。1931年から30年にわたって連載された現代インドネシア漫画の草分け的存在といわれる「Put On」にも日本兵の描写があるらしい。
2016/09/25 18:54:55
それでは、以下に該当する部分を「日本兵」「労務者」「従軍慰安婦」「郷土義勇防衛軍」という4つのテーマに分類して紹介してみたい。なお、分類はあくまでも便宜的なものであり、作中の描写によっては複数のテーマが混在する場合がある。
※下記作品は日本語漫画とは逆で左から右に読む。
インドネシア人の本音@honnesia日本が登場するインドネシアの漫画。2013年出版の「Komando Rajawali」第1巻より。インドネシアへ進駐した日本軍と虐げられる現地住民。ナレーションの翻訳は以下のツイートで。 https://t.co/JHDXw37bf8
2016/12/19 21:14:26
〝父と兄は拉致され、ロームシャ(労務者)となった。彼らは飢えや病気の中で強制労働に就かされた〟
〝全ては日本の軍備強化のためだった。線路、橋、大通りなどが建設された。数十万人が飢えや虐待によって死亡した〟
〝人々は飢えていた。あらゆる場面で銃剣が取り出され、抵抗する者たちの腹を引き裂こうと待ち構えていた〟
〝我が祖国インドネシアの大地と血を絞り上げ、現地住民の命を犠牲にし、日本は自国のために戦争を行った〟
インドネシア人の本音@honnesia日本が登場するインドネシアの漫画。2014年出版の「Kisah Petualangan Bagas」第1巻より。日本軍侵攻によるオランダの降伏と日本軍政期の開始。日本兵の横暴さが描写されている。 https://t.co/Zr3ywiTQ0H
2016/12/19 21:41:27
〝なぜなら、日本軍はインドネシアの独立を約束していたからだ〟
〝人々の暮らしはオランダ植民地時代よりもはるかに酷いものとなった〟
日本兵「どけ!」
日本兵「ほお、そうか。これでお前は空腹の心配をすることもないな」(銃声が響き渡る)
(2)「労務者」の描写
日本兵「サボるな!立て!仮病が通じると思うなよ!」
イ労務者「お許しを…お許しを…」
〝ブリタルのPETA将校たちは南海岸で行われる労務者の作業を監視した。PETAの指導者、スプリヤディ小団長は自責の念に駆られていた。なぜPETAが自らの同胞と対峙しなければならないのだろうか、と〟
日本兵「バカヤロー!そこでくたばってろ、この怠け者が!」
〝労務者は砂で要塞を築くために、海岸での強制労働を余儀なくされた。今日建てられた要塞は、翌日には潮に飲み込まれ消えていった。この様はあたかも集団虐殺の様相を呈していた〟
〝衰弱した者は、逆に殴られた。水は滅多に与えられず、食事に至っては望むべくもなかった。朝に病めば、昼には死に、昼に病めば、夜には命を落としていた〟
〝スプリヤディとPETAの同士たちは気が付いていた。いかなる犠牲が出ようとも、独立は奪い取らなければならないのだ、と〟
(3)「従軍慰安婦」の描写
インドネシア人の本音@honnesia日本が登場するインドネシアの漫画。2013年出版の「Komando Rajawali」第1巻より。インドネシアの現地住民宅に押し入り、女性をさらう日本兵たちの描写。 https://t.co/5fL7o9nNQf
2016/12/19 21:26:28
日本兵「急げ。邪魔なものは全て破壊しろ。手あたり次第 持っていけ」
〝日本兵が部屋に入った時、アイリンはまだぐっすりと眠っていた〟
〝隣の部屋でアホンが目を覚ました〟
〝多くの生娘たちが日本兵にさらわれた。その後、何人もの少女たちが奴隷となった〟
日本兵「黙ってろ!」
〝アホンは目覚めると、姉を助けようとしたが、もはや手遅れだった…〟
日本兵「ゴキブリ野郎がいちいち歯向かいやがって。目につくものを根こそぎ持っていけ!」
〝日本は私たちインドネシア人の誰もを虐げた〟〝富める者、貧しい者、ジャワ、チナ、女性、男性、農民、商人、役人, 誰もが苦しんでいた〟
〝アホンは立ち上がろうとしたが、体は衰弱しきっていた。彼はそのまま意識を失った〟
日本兵1「こいつは上玉だ」
日本兵2「おい、こいつは俺のものだ!」
イ女性「離して!」
日本兵「生意気な!」(女性の頬を打つ)
イ男性「ふざけるな!」「女性に手を挙げやがって!」
イ女性「もうやめて!」「お許しください」「これ以上あの人を殴らないで。どんな命令にも従いますから」
日本兵「こいつを連れていけ!」(連行される女性)
イ男性「スリ…(女性の名前)」
日本兵「こいつ、殺っちまうか?」「俺にいい考えがある」
日本兵「こいつを連れていけ!」「ビルマでこき使ってやる」
インドネシア人の本音@honnesia「Kisah Petualangan Bagas」第1巻より。日本兵に拉致され従軍慰安婦とさせられたインドネシア人女性を救うため日本軍武器庫を襲う少年兵たち。女装した少年が門番を誘惑し、そのすきを見て武器庫へ進入。日本兵との戦闘を… https://t.co/RfGEPjon9W
2016/12/30 14:30:50
(4)郷土義勇防衛軍(PETA)
〝日本は2年にわたって現地住民に軍事教練を施した。彼らは我々をPETAと呼んだ。これはインドネシアを独立に導く祖国防衛義勇軍である、と〟
〝日本の言葉は偽りだった。彼らはインドネシアの青年たちを太平洋戦争における盾にしようとしていた。日本のために命を捧げる。私たちはそう教え込まれた〟
〝だが、我々も愚かではない。日本の奸計は我々にとっての輝かしい計画となった。我々はいまや自らの軍隊を持ったのだ。訓練を受けた勇敢かつ規律の取れた軍隊を〟
看板:我らの敵、米英を打倒せよ!
「我々は日本の意図に反発した。PETAはインドネシア共和国軍、すなわちインドネシアの再侵略を企てる全ての民族を追い払うための軍隊となったのだ」
「PETAブリタル本部の現実はそれほど甘いものではなかった」
「PETA兵士は敬礼を行うことが義務付けられた。それは空車が通りすぎた際も同様だった」
日本兵「ウマム義勇兵、なぜ敬礼をしない?」
イ人兵「なぜ敬礼を?将校はいません。車が通りすぎただけです」
日本兵「原住民風情が口答えする気か!」
日本兵「これが日本帝国の車であることは知っているな。つまり、この車の階級はお前より上なんだ!」
イ人兵「私の名はスゲンです。人間はアッラーの創造物であり、その上に何かの物が存在することはありません」
日本兵「(腕立て伏せをさせながら)50回だ!途中で止まれば、むち打ちだぞ!」
イ人兵「今日は私の汗が流れ落ちる。だが、明日は流れ落ちるのはお前たちの血だ」
〝PETAの軍事教練は想像を絶する厳しさだった。兵士たちは日の出前から駆け足を命じられた。そして、東方、すなわち天皇が治める地に向かって敬礼が行われた〟
〝その後も昼まで途切れることなく訓練は続けられた。整列、護衛術、そして戦闘〟
〝少しで動きを誤れば、馬鹿野郎と罵声を浴びせられた。失言があれば、平手打ちが飛んできた。反抗的態度を取ろうものなら、ただちに食事も出ない独房へ入れられた〟
〝訓練は厳しかった。だが、ペタ兵士たちの腹は常に空腹だった。朝食はわずか数粒のトウモロコシ。それすらもすでに乾き、硬くなっていた。〟
イ人兵士「これは何だ!この数か月、俺たちに与えられる食事といえば、具のないカンジ(タピオカの粉を糊状に溶かしたもの)ばかりじゃないか。俺たちの稲はどこだ?牧畜製品は?日本が全てを持ち去ったんだ!」
日本兵「ソンコ義勇兵、机から降りろ!さもなければ、お前の頭を撃ち抜くぞ!」
イ人兵士「撃てるものなら撃ってみろ!だが、お前らが奪ったものを返すのが先だ!」
日本兵「(腕立て伏せをさせながら)身の程知らずのゴキブリ野郎が。何様のつもりだ?」
〝抵抗は拷問で終わりを迎えるのが常だった〟
日本兵「恨むなら仲間の愚かさを恨むんだな!まだ盾突くヤツがいるなら、その首を皆の前でたたっ切るぞ!」
〝サソンコは暗い独房に閉じ込められた。食べ物はなく、外部からは完全に遮断されていた〟
〝その後の彼の行方は誰一人として知る由もなかった〟
インドネシア人の本音@honnesia【ブログ更新!】 インドネシアの漫画にみる日本軍政期の描写とは-日本兵、労務者、従軍慰安婦、郷土義勇防衛軍 https://t.co/NmLmXhVxaR https://t.co/coviuyLssy
2016/12/30 14:39:12
【管理人コメント】
冒頭で記したように、当ブログではこれまでに様々な媒体からインドネシア側の見解を紹介してきました。今回紹介したテーマに関心がある方は、ぜひ以下の関連記事もご一読ください。
インドネシア人の本音@honnesia「インドネシア中学歴史教科書-第21章 インドネシアにおける日本の占領」https://t.co/lSJes5XsEB 翻訳の底本としたのはインドネシアでも定評のある教科書出版社「エルランガ社」の中学歴史教科書。同社出版の高校歴史教科書は明石書店から翻訳が出ています。
2016/12/30 12:57:32
インドネシア人の本音@honnesia「【激論】インドネシアの独立は日本に与えられたものなのか」https://t.co/T9KWcz0OZE インドネシアのネット掲示板「Kaskus」の大人気スレッドを翻訳。日本でもネットを中心にたびたび議論になるテーマですが、当のインドネシア人はどのように考えているのでしょうか。
2016/12/30 13:01:46
インドネシア人の本音@honnesiaインドネシアは「従軍慰安婦」問題をどう報じたのか?-1992年『テンポ』誌「慰安婦」特集記事まとめ https://t.co/8pgrsc6VKb インドネシアを代表する時事週刊誌がを総力を挙げて取材した計20ページにわたる特集記事の全訳。同国の慰安婦問題に関する最初期の反応です
2016/12/30 13:07:40
インドネシア人の本音@honnesiaインドネシア国史に記された「従軍慰安婦(Jugun Ianfu)」問題とは?https://t.co/QIPaUln9Ap インドネシアの国営出版社バライ・プスタカ社が発行する自国通史『インドネシア国史(第5版、2008年出版)』に追加された「従軍慰安婦」の項目の全訳。
2016/12/30 13:10:41
インドネシア人の本音@honnesia「インドネシア高校歴史教科書-日本の占領がインドネシアに与えた影響とは?」https://t.co/eSDVUq3rcA エルランガ社出版の高校歴史教科書の翻訳。経済・教育・文化・社会・行政の5つの側面から、インドネシアにおける日本軍政の影響を簡潔にまとめています。
2016/12/30 13:15:57
インドネシア人の本音@honnesiaインドネシア高校歴史教科書にみる戦後日本の歩みとは?-「日本の成功と世界の政治経済秩序に与えた影響」https://t.co/555pnUGv8j エルランガ社高校歴史教科書の翻訳。戦後日本が世界に果たした役割を冷静な筆致で描写しています。日本軍政期の描写と比較してみて下さい。
2016/12/30 13:19:34
インドネシア人の本音@honnesia「日本には脱帽だ」-1950年代 日本の戦後復興を目の当たりにしたインドネシア人の反応 https://t.co/uI7Hbj3KcZ 日本の戦後復興に関するインドネシアネット掲示板の反応。戦後日本の復興と急速な経済発展を純粋に賞賛するコメントで大半でした。
2016/12/30 13:22:26
インドネシア人の本音@honnesia「小野盛、老いたサムライの黄昏」-現地大手誌が報じたインドネシア残留日本兵 https://t.co/mEFXNaXpZ4 インドネシアを代表する時事週刊誌テンポ誌の特集記事より。林英一さんの残留日本兵に関するインドネシア語著作にも言及しています。
2016/12/30 13:26:24
インドネシア人の本音@honnesia「日本人のインドネシア観って...」-とあるインドネシア人留学生の告白 https://t.co/GNnIMBpzDT 福岡の大学で学ぶインドネシア人留学生のブログ記事から。インドネシアで日本の知名度は高いですが、日本人はインドネシアのことをどのくらい知っているのでしょうか?
2016/12/30 13:31:59
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