社説:トランプ時代の日米関係
コンパス(2016年12月9日)

ドナルド・トランプが大統領に選出されたことで、日本は新たな困難に直面した。これまで培ってきたアメリカとの良好な友好関係の再構築を余儀なくされたためだ。

日本にとって、アメリカは最重要パートナーであり、東アジア地域における中国とロシアの優位を抑える上で最も頼れる存在でもある。しかし、トランプが選挙期間中に用いたレトリックは日本に懸念を抱かせるものだった

要約すれば、仮に日本が在日米軍に対するさらに巨額の費用負担を拒めば、日本からの米軍撤退も辞さないとトランプは警告した。忘れてはならないのは、トランプは同様の警告をアメリカの軍事プレゼンスに頼るNATOやヨーロッパ諸国にも発しているということだ。

日本の安倍晋三首相は外国首脳として初めてドナルド・トランプと会談を行ったが、これは驚くことではない。安倍はトランプの上記発言の真意を探るとともに、同氏の態度を軟化させようとしたと考えられるためだ。現地メディアの報道によれば、この会談で、トランプの娘イヴァンカは日本企業と服飾ビジネスに関する契約を結んだとされる。

日本政府の懸念を抑えるべく、アッシュ・カーター米国防長官が数日前に訪日し、アメリカは今後もアジア太平洋地域を安全保障上優先するべき重要地域とみなすと表明した。

安倍にとって、アメリカの安全保障政策は日本を世界有数の軍事大国とするという自身の野心と道を同じくしていた。安倍はこれまでナショナリスト的傾向を持つ人物として知られており、日本は平和主義を置き去り、軍事力を持つべき時がきたと複数回にわたって表明してきた。日本海軍の軍事力は現時点ですでに世界の「五強」に数えらている。

日本国憲法は自国防衛に関する軍事力の保有のみを許可し、日本の「足枷」となってきたが、逆にこうした規定があったからこそ、日本は強大な軍事力を持つに至ったといえる。「攻撃」に関する費用は考慮する必要がないためだ。

安倍は今月12月末に真珠湾を訪問すると発表した。日本の首相が同地を訪問するのは今回は初となる。真珠湾では日本軍の攻撃で2403人が犠牲となった。この攻撃がきっかけとなって、アメリカは第二次世界大戦に参戦した。

バラク・オバマ米大統領も同様に、今年5月、現職アメリカ大統領として初めて広島を訪問した。広島と長崎ではアメリカが投下した原爆によって、数十万人が犠牲となった。

両国首脳はともに、過去に行われた「戦時侵略(agresi perang)」に対する謝罪を公式には行っていない。しかし、こうした相互の訪問は戦争という暗い過去の歴史に対する和解の象徴、そして次世代への教訓となり得るだろう。

Kompas, 9 Desember 2016
Tajuk Rencana: AS-Jepang di Era Trump