社説:原油に救われた日本
コンパス紙(2015年4月24日)

世界的な原油価格の下落は日本を含む多くの国々に恩恵をもたらした。これはコンパス紙が4月23日付けで報じた(※訳注)ものだ。

※訳注:4月23日付けのコンパス紙記事翻訳はこちら:「原油が日本を救う-2年9か月ぶりの貿易黒字

2014年第四四半期に日本は不況からの脱却に成功したが、これは当然、2014年6月以来、60パーセント以上も下落した原油価格の低迷が主な要因と認めなければならない。日本は国内石油需要の99パーセントを輸入に頼る一方で、エネルギー需要に石油が占める割合は現在も50パーセントにおよんでいる。したがって、原油の供給や価格の変動によって、日本経済は極めて大きな影響を被ることが分かる。

原油価格の下落は、短期的にみれば当然、日本の15年に及ぶデフレを終結させるべく安倍晋三首相が行なう金融緩和政策の後押しとなることはない。しかし、長期的には、国内需要の刺激、商業部門の収入や投資の増加、需要と供給の押し上げなどの理由から、経済全般に利益をもたらすことになる。

原油価格の下落に支えられ輸出が回復したことから、2014年第四四半期における日本の国内総生産は、前四半期のわずか0.6パーセントから2.2パーセントの成長を記録した。ドル高と合わせた円安傾向が進むことで、日本の財とサービスの需要はとりわけアメリカからのものが急増した。
 
一方で、GDPのおよそ60パーセントを占める民間需要も0.3パーセントの成長を見せた。同様に企業の設備投資も3四半期ぶりに0.1パーセント増加した。しかし、問題は原油価格の下落がいつまで続くかという点にある。日本政府も今回の経済成長は原油価格の下落に助けられた脆弱なものであると認識しているようだ。

1990年代の10年を超える不況(失われた10年)の影響から、1995年から2002年にかけての国内総生産の増加が年1.2パーセントとなるなど、日本はデフレと不況からの脱却を目指して苦闘し続けている。2008年から2015年に限れば、2014年を最後に4回のマイナス成長を記録している。

2014年、日本は第2四半期の年率7.1パーセントの落ち込みに次いで、第3四半期には1.9パーセントのマイナス成長を記録するなど、技術的な景気後退に陥った。

日本は2014年の第4四半期に、家計支出や企業設備投資の低迷ゆえに依然として脆弱な経済成長ではあるが、不況からの脱却に成功した。2014年の景気後退は、同年4月に実施された消費増増税がきっかけとなった。この政策の実施後に消費者支出が急減したことから、政府はさらなる消費増税を2017年まで延期せざるを得なかった。

日本銀行は景気を底上げするため、2014年10月から現在まで続く量的質的金融緩和の拡大に踏み切った。これ以外には財政出動、法人税の削減、構造改革が行われた。これらの政策を理由に、日本経済研究センターによるエコノミスト41人を対象とした調査では、今後9四半期は経済成長が見込めるとされる。

Kompas, Jumat, 24 April 2015