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インドネシア・テンポ誌(1993年11月6日号)特集「デウィ・スカルノ騒動の裏で」をまとめました。今回は記事の見出しと特集に寄せた編集部による巻頭言の翻訳をご紹介します。特集の各記事に関しては今後、翻訳を終え次第、ひとつずつ更新していく予定です。なお、デヴィ夫人はインドネシアではデウィ・スカルノと呼ばれているため、翻訳でもその表記を用いました。

特集「デウィ・スカルノ騒動の裏で」

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特集:デウィ・スカルノのヌード写真集。ラトナ・サリ・デウィ・スカルノが写真集『秀雅』を出版した。この140頁の写真集には故スカルノ元大統領未亡人のヌード写真などが収録されている。デウィはなぜ平然としているのだろうか。「美しいものは美しい」とマダム・スカルノはテンポ誌に語った。(目次より)

●特集にあたって(編集部より)
下記に翻訳あり。

●デウィとは?
デウィが探しているものは何か。「私自身です」と写真集『秀雅』の出版に関する質問を受けた際、ラトナ・サリ・デウィ・スカルノは答えた。この140頁の写真集にはここ3年間に撮影された彼女自身の写真が収録されており、その大半が「あられもない」、すなわち服を脱いだ状態だった...

●世間をにぎわすデウィ
デウィ・スカルノが写真集『秀雅』で全てを脱ぎ捨てた。芸術、カネ、それとも話題作りのためなのか。非難する向きもあるが、デウィ自身は自らが自由な女性であると感じている。彼女はスカルノ大統領の未亡人という肩書を含めた自らの過去を捨て去ろうとしていた...

●デウィ、ビジネスと政治の間で
デウィは権力者たちの「ビジネスの献上物」となった。ジャカルタの独立記念塔、いくつもの星付きホテル、巨大建築物はその見返りだった。9月30日事件後、スカルノとインドネシア国軍の和解。彼女は1966年3月11日事件を前に非公式に働きかけられていた...

●スカルノのなき後で(特別インタビュー)
スカルノなき後のデウィはもはや自らが元大統領夫人であるとは考えていない。彼女はスカルノの擁護者であるが、この地では本来あるべき扱われ方がされていないと感じていた。今後インドネシア国籍を手放すこともあり得るという...


編集部より

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本誌がラトナ・サリ・デウィ・スカルノ(53)の特集を組むのはこれで2回目となる。それも仕方がない事だろう。インドネシアの故スカルノ初代大統領の伴侶であったこの未亡人はいずれにせよ話題に事欠かない人物であるためだ。初めて特集を組んだのは昨年、デウィがアメリカ・アスペンの上流階級が集う社交場でマリア・オクタヴィア・オスメーニャとの乱闘事件を起こした時だった。

デウィ(旧姓:根本七保子)は今、再び時の人となった。彼女は複数のヌード写真が掲載された写真集を出版した。中には一糸まとわぬデウィの姿をおさめた写真もあった。この『秀雅』と題された写真集が日本で発売されたのは、先週木曜日のことだった。

何を言われようとも、デウィが過去にインドネシアで非常に重要な人物であった事を否定するのは難しい。彼女は当時、強大な権力を持つ大統領スカルノと最も近しい人物だった。スカルノが当時、多くの政策-例えば、戦時賠償問題など-の決定において、デウィからどれほど大きな影響を受けていたのか、後年に出版された複数の本で言及されている。いずれにせよ、デウィが写真集でヌードを披露したことで、心を痛めるインドネシア人も多い。

テンポ誌東京支局長の大川誠一はデウィ・スカルノの写真集出版を記念した記者会見に出席すると、直ちにこの件を特集記事としてまとめるよう提案した。大川-1982年からテンポ誌記者、日本及び東アジアの取材を担当-はすぐさま裸体で様々なポーズをとるデウィの写真を入手した。また、スカルノおよびスカルノ政権期のインドネシア政府高官の妻たちがデウィに送った貴重な手紙のコピーも複数入手した。そして、先週水曜日、大川はデウィに対して4時間に及ぶインタビューを行なった。このインタビューは彼女が暮らす東京のホテルで、スタッフのシズコ・イトウ(23)の協力を得て行われた。

今回の特集記事に関して、大川の貢献は当然のことながら非常に大きい。大川は記事を執筆し、複数の情報源にインタビューを行っただけではなく、数多くの重要な資料を届けてくれた。例えば、デウィ・スカルノが出版した本と写真を編集部は原稿の締め切り前に入手しなければならないといったものだが、東京-ジャカルタ間を結ぶを航空会社クルーの助力を得て、それら全ては滞りなく行われた。彼らの協力に感謝したい。

大川はテンポ誌記者となって以来、重要人物との貴重な特別インタビューを複数回にわたって行なってきた。例えば、海部俊樹首相を含む日本の閣僚たち、ハワイへ亡命した元フィリピン大統領マルコスやその後を継いだコラソン・アキノ、中国外相の呉学謙、そして現在韓国大統領の金泳三や金大中などの名が挙げられる。大川はまた、現在中国で暮らす元インドネシア共産党員のアジ・トロップへのインタビューも成功させている。

では、デウィ・スカルノはどうだろう。大川は今回だけではなく、デウィが今年四月に東京で国連の資金を集めるために絵画の展覧会およびオークションを開催した際にもインタビューを行っている。しかし、4時間におよぶ聞き取りの時間を考慮すれば、今回のインタビューはまさに特別なものとなった。「デウィさんは非常に派手な言動ゆえに誤解を招きやすい人物ですが、じっくりと話し込んでみると、マスコミが報じてきた人物像とはやや違って見えました。デウィさんの人物像は、それが実際には事実に基づかないものであるにも関わらず、マスコミによっていとも簡単に作り上げられ、広まっていったものなのでしょう」とインタビューを終えた大川とイトウは印象を語った。