コンパス(2015年3月7日)
驚くべきニュースが舞い込んだ。マーク・リッパート駐米アメリカ大使が韓国の政治活動家である金基宗(キムギジョン)容疑者に刃物で切りつけられた。
今回のリッパート大使に対する襲撃事件は受け入れ難い。これはとりわけ3月5日木曜日、リッパート大使が朝鮮半島統一をテーマとした会合に出席した際に襲撃されたためだ。親北朝鮮派の活動家として知られる金容疑者は事件の発生後、ただちに身柄を拘束された。
リッパート大使は顔に長さ11センチ深さ3センチの傷を負い、左手首も負傷した。傷口からは大量の血が流れていたが、自力での歩行に支障はなかった。顔を80針縫ったが、容体は安定していると報じられている。こうした身体的な強さは海軍時代に培われたものだろう。
驚くべきは今回の事件が発生した経緯にある。リッパート大使は韓国におけるアメリカの代表者だ。大使を行事に招待した主催者側は、この点を踏まえた上で十分な警備を行なう義務があった。
米大使が出席する会合において、主催者側は悪評高い金基宗容疑者に監視もなしで出席を許可したばかりか、刃物の持ち込みも見逃していた。これらはいずれも信じがたい話である。
金容疑者は2010年にも駐韓日本大使へ2つのコンクリート片を投げ付け、逮捕されている。この事件では日本大使に怪我はなかったが、金容疑者は懲役3年の有罪判決を受けた。また、1985年にソウルのアメリカ大使館前で行われた抗議活動への関与も明らかとなっている。この抗議活動ではアメリカ国旗を引き裂き、燃やしたという。
こうした大使に対する暴力事件は2度と繰り返されてはならない。主催者側には政府要人に行事への出席を依頼する場合、厳重な警戒を敷くなどして彼らの安全を保障する義務がある。出席者の選別も行なわれて然るべきだろう。
同様の事件はいかなる場所でも、誰に対しても起こり得る。暴力によって目的を達成しようとする人物を正当化する事などできない。だからこそ、細心の注意が不可欠とされるのだ。
一方で、今回の件に限って言えば、襲撃事件を理由にリッパート大使の韓国に対する見方が変わらないことを望みたい。ましてや、昨年10月に韓国へ赴任した大使は、この程生まれたばかりの息子に韓国式のミドルネームをつけたと報じられている。
Kompas, Sabtu, 07 Maret 2015
Tajuk Rencana: Penusukan Dubes AS Sulit Diterima
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