社説:他国への屈服
コンパス(2015年1月19日) 

この題名-省略せずに書けば「インドネシアは他国へ屈するべきなのか」となる-は今回の社説を書くにあたって、あえて使用したものだ。

この題名の選択はブラジルとオランダによる大使の召還を念頭に置いている。麻薬事件に関与した6人の死刑囚に刑が執行されると、両国は駐インドネシア大使を本国へ召還した。6人の中にはブラジル人のマルコ・モレイラおよびオランダ人のアン・キィム・スイという2人の死刑囚が含まれていた。

ブラジルのジルマ・ルセフ大統領による大使召還の決定は、国内の要求や利益をにらんだものだろう。大統領は自国民がどこにようとも保護するという姿勢を打ち出した。ブラジルと同じく大使の召還を行なったオランダ政府も同様の姿勢を示している。

実際のところ、大使の本国への召還はそれほど珍しい事ではない。ここで珍しくないと言ったのは、そうした大使の召還は多くの場所や国で起こっているためだ。例えば、インドネシアも昨年、オーストラリアから大使を召還している。これは当然、インドネシアの国益が阻害、もしくは実現されなかったことを主たる理由としたものだ。

大使の召還はそれぞれの国が持つ権利ではあるが、それが外交関係の断絶を意味する訳ではない。大使の召還にはおそらく本国との協議という理由や、戦争の勃発や政治的緊張から状況が好転するまでの一時的な引き上げもあるだろう。最悪の状況と言えるのは、大使の召還が一時的なものではなく、それに伴って両国の外交関係が断絶した場合だ。

仮に大使の召還が結果として両国関係の障害になったとしても、それは彼ら、この場合はブラジルとオランダ、の権利である。一方で、これが主要な問題-インドネシア政府が行なう麻薬に対する戦い-の矮小化や人権問題へのすり替えにつながることがあってはならないと私たちは考える。

ブラジルおよびオランダ政府は理解するべきだろう。今回の件-麻薬事件に関与した死刑囚に対する刑の執行-は人権の問題ではなく、主権国家における法秩序の問題である。諸外国はまず、麻薬取引の天国とされるインドネシアの現状そのものに目を向けなければならない。すでに数多くの者が犠牲となっている。だからこそ、インドネシアは今、法を堅持するために断固として一貫した姿勢を示しているのだ。

私たちは1889年に死刑制度を廃止したブラジルを尊重する。また、オランダで施行されている法律に関しても尊重する。これらを踏まえた上で、友好諸国も同様にインドネシアにおける法の支配を尊重するよう望みたい。私たちは言いなりにはならない!

Kompas, Senin, 19 Januari 2015
Tajuk Rencan: Tunduk kepada Negara Lain