音楽:AAAを通じてインドネシアを〝攻める〟日本
コンパス紙34面(2015年4月17日)

インドネシアでは今もK-popが流行しており、自国の音楽産業が活況を取り戻すには至っていない。そんな中、日本のボーカルグループであるアタック・オール・アランウドが、4月8日水曜日にジャカルタ・タムリン通りのアネックスビルでコンサートを開催した。

さほど多く聞かれている訳ではないが、彼らはどうやら熱狂的なファンを抱えているようだ。アタック・オール・アラウンド(AAA)ファンのひとりであるエドゥリは今回のコンサートのチケットを一か月前から購入していた。お気に入りのアーティストを間近で見られるようにと、エドゥリと2人の友人が手に入れたのは60万ルピアのVIPチケットだった。彼は普通、テレビや「Youtube」を通じてAAAの曲を聞いている。

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写真:4月8日水曜日、ジャカルタのアネックスビルで行われたアタック・オール・アラウンド(AAA)のライブパフォーマンス。

ララスはAAAがデビューした十年前から彼らを追いかけている。彼女はAAAのほぼ全ての曲を暗記していた。AAAに夢中になる中で、日本語の歌詞を理解したいとの思いから、独学で日本語の勉強を始めたほどだ。「彼らの曲はダイナミックでワクワクさせてくれる」とララスは語った。ララスらを含めた600人の観客は飛び跳ねながらAAAが披露した14曲を楽しんでいた。

「トゥリ・マカシ(訳注:インドネシア語でありがとう)、ありがとうございます」とAAAがインドネシア語と日本語を交えて締めの挨拶をすると、観客たちも自分たちが何を叫ぶべきかを理解していた。「アンコール!アンコール!」という次の曲を求める日本語の歓声が聞こえてきた。AAAもアンコールに応えて、一番のヒット曲である「Wake Up」を披露した。

このグループが選択したのは、ポップ、エレクトロニック、テクノ、そしてユーロビートといった音楽の路線だった。彼らはボーイバンドのように踊りながら歌を歌う。最新のミュージックビデオは2014年6月5日にアップロードされて以降、1118万9649回の再生を記録している。AAAがインドネシアでのコンサート開催に踏み切ったのは、数千万の若者人口を持つこの国でさらなるファンを獲得できると確信していたためだ。彼らは2015年アジアツアーの一環としてインドネシアのステージに立った。インドネシアの他に、シンガポール、香港、そして台湾でコンサートが開催された。

日本文化

アタック・オール・アランウドは西嶋隆弘、浦田直也、日高光啓、與真司郎、末吉秀太、宇野実彩子、伊藤千晃の7人からなる。コンサート前にコンパス紙の取材に応じたAAAは、インドネシアの音楽ファンの心を掴んでいきたいという。「インドネシアは日本と比べて人口も非常に多く、素晴らしい市場だ」と末吉は語った。

グローバル化の時代では、世界中の人々がインターネットを通じて、どのような音楽でも知ることができ、心行くまで楽しむことできる。「Youtube」や「Icloud」といった受け皿がAAAの曲を広め、新たなファンを獲得する場となった。彼ら自身、インドネシアに来るのがやや遅くなってしまったと認めているが、ファンは我慢して待っていてくれただろうと前向きな見方を示した。

AAAは現在彼らが所属するエイベックス・トラックスが開催したオーディションを経て、2005年に結成された。AAAには当初、5人の男性メンバーと3人の女性メンバーがいたが、女性メンバーのひとりである後藤友香里が後に脱退した。末吉のよれば、こうした男女混合の編成がAAAの魅力となっているという。

AAAは日本の人気グループのひとつだ。2005年には第47回日本レコード大賞「最優秀新人賞」を受賞した。彼らは演歌や日本の伝統音楽を加味した楽曲も複数発表している。演歌というのはサックス、ギター、ビオラ、ピアノや日本の伝統楽器である尺八、事、三味線などを組み合わせたものだ。「インドネシアのファンに違いや魅力を知ってもらえるように、音楽を通じて日本文化を伝えたい」と末吉は語った。
「Wake Up」は日本で大人気のアニメ「ワンピース」の主題歌となった。このアニメを好むインドネシアの若者も少なくない。インドネシアではどんなものでも売れて、そのファンが存在する。この言葉は証明された。業者たちが利益を得たのはそのためだ。

Kompas, 17 April 2015
MUSIK: Jepang "Menyerang" Lewat AAA