イワン・ファルス-母(※)
(Iwan Fals - Ibu) 

あなたが歩んできた何千キロもの道程
あなたの息子である私のために困難を乗り越えて
我が最愛の母は今もなお歩み続ける
足の裏は血にまみれ、膿にまみれながらも
まるで空気のようにあなたが注いでくれた愛情に
私は報いることなどできません
母よ...
母よ...

あなたを抱きしめ、その膝の上で泣くことができたなら
過ぎ去りし幼き頃のように、私が眠りに落ちるまで
やがてあなたの祈りが私の全てを包み込んでいく
何をもって、私はあなたに報いることができるのでしょうか
母よ…
母よ…

※1988年発表のソロアルバム「1910」収録。インドネシアではメリー・グスロウの「Bunda(母)」と並んで、母親をテーマとした最も有名な曲のひとつとされる。インドネシアの「国民歌」と形容される場合もある(参照)。日本ではイワン・ファルスと言うと、「反体制派」や「社会派」といったやや〝過激〟なイメージで語られる場合がほとんどだが、今回紹介した「Ibu」のように家族愛、恋愛、ヒューマニズムなどをテーマにした作品もデビュー当初から数多く発表している。

なお、この「Ibu」はジャカルタ特別州知事バスキ・チャハヤ・プルナマ、通称アホック氏のお気に入りの曲でもある(インドネシア大統領のジョコウィことジョコ・ウィドド氏はイワン・ファルスの曲の中では「Bongkar」がお気に入り)。