※2015年2月4日付けコンパス紙国際面より。本文の「イラクとシリアにおけるイスラム国」という表現は記事で使用されたインドネシア語の 「Negara Islam di Irak dan Suriah」(略称はNIIS)をそのまま翻訳したもの。略称の「NIIS」は訳文では便宜上、英語の「ISIS」とした。

日本、さらなる警戒へ
後藤氏による4年前のツイッター投稿がネット上で拡散

コンパス(2015年2月4日水曜日)

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写真:2月2日夜、ヨルダン・アンマンの日本国大使館前でイラクおよびシリアにおけるイスラム国(ISIS)の人質とされたヨルダン人パイロット、ムアーズ・アル・カサースベ氏のポスターを掲げるヨルダン市民。ヨルダン市民はISISに殺害された日本人ジャーナリストの後藤健二氏に対する連帯行動を開催した。この集会ではカサースベシの解放も呼びかけられた。

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東京、火曜日-日本はイラクおよびシリアにおけるイスラム国によって日本人2名が処刑された人質事件を受け、テロの脅威に対する対応の再検討を始めた。菅義偉官房長官は、テロの脅威が日本人にとって現実のものとなると認めた。2020年オリンピックの開催地である点を踏まえて、日本は警戒を強化している。

民間軍事会社コントラクターの湯川遥菜氏と戦場ジャーナリストの後藤健二氏が犠牲となった人質事件が発生するまで、日本はイラクおよびシリアにおけるイスラム国(ISIS)との戦いには巻き込まれていなかった。

アメリカが主導する空爆に対する日本政府の支援は避難民への資金および人道的援助、紛争に巻き込まれた国に対する非軍事援助に限られていた。しかし、こうした点が日本人を標的とするジハーディストらの障害とはならなかった。

「我が国を巡るテロの脅威が現実のものになる」と菅官房長官は2月3日火曜日、「国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部」の会合で述べたと『ジャパン・タイムズ』紙は報じた。この会合では国際的な犯罪やテロから日本人をどのように守るべきかが話し合われた。

「皆さんには対テロ対策の強化をお願いしたい」と菅氏は会合の参加者に語った。

日本はまた、2020年オリンピックの開催国であるという点を踏まえ、テロの脅威に関する対応の再検討を始めた。「東京オリンピック・パラリンピックの開催中は外国から多くの観光客が訪れる。万全の態勢で臨むのが当然」と菅氏は述べた。

日本政府は国内のアメリカ関連施設や港、空港、駅、その他の公共交通機関の警備強化を続けている。

問い詰められる安倍首相

安倍首相は昨日火曜日の参議院委員会で、人質事件の対応をめぐって引き続き数多くの質問を受けた。「首相は(カイロでの)演説時には湯川氏と後藤氏がISISに人質とされたことを知っていた。あのような演説が2人の人質を危機にさらすとの認識はなかったのか」と野党日本共産党の小池晃議員は安倍首相を問いただした。

安倍首相はカイロでの演説で、ISISと戦う国々に対して総額200億米ドルの援助を表明していた。演説から数日後、ISISは湯川氏と後藤氏の身代金としてその援助額に相当する金額を要求すると発表した。

安倍首相は演説においてあからさまにISISの名前を出すべきではなかったと専門家らは指摘する。日本エネルギー経済研究所の田中浩一郎・中東研究センター長は、態度を表明する際により慎重を期すべきだったと話した。

安倍首相はこの批判を否定した。首相はまた、演説の際には2人の人質の件を考慮していたと述べた。

「避難民を受け入れ、戦場で戦う国々を支援する事は非常に重要だ。そうした国々に対して連帯を示すこのは当然のこと」と安倍首相は語った。

後藤氏のつぶやきという記憶

ISISによる処刑から2日後、後藤氏の2010年9月7日のツイートがインターネット上で拡散された。日本語で記された後藤氏のつぶやきには英訳が添えられていた。

「目を閉じて、じっと我慢。怒ったら、怒鳴ったら、終わり。それは祈りに近い」と後藤氏は4年前にツイッターに記した。

「憎むは人の業にあらず、裁きは神の領域。-そう教えてくれたのはアラブの兄弟たちだった」

このつぶやきは火曜日までに日本で2万6千回をこえるリツイートを記録している。

Kompas, Rabu, 4 Februari 2015
Jepang Makin Waspada
Kicauan Goto di Twitter 4 Tahun Silam Beredar Luas di Jagat Maya


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「混迷するイスラム国人質事件」‐コンパス紙社説(1月31日)
「安倍晋三首相とその攻撃的外交政策」-コンパス紙(2月3日)
【日本人人質事件】「問われる安倍首相の対応」-コンパス紙(2月3日)
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